2023.3.30まさかの不自然!違和感の正体とは!?
3Dプリンターの
落とし穴からも這い上がり、
“いいとこどりナチュラル”を実現。

レビー(LEVY)

ナチュラルな空間デザインのワークプレイスが増えている潮流をふまえ、無垢の一枚板の天板かのようなナチュラル感とワークプレイス仕様の使いやすさを兼ね備えたテーブル「レビー」を開発しました。
カフェやホテルのプロジェクトで培ってきたデザイン性・快適性を注ぎ込み、様々な困難を乗り越えて生まれた「レビー」のストーリーをご紹介します。

  • レビー(LEVY)

    “ありえない方向”へ大胆に
    シフトチェンジ。
    木目への深い理解で、
    無垢の丸太感を表現。

    グリーンが映えるナチュラルな空間デザインのワークプレイスへのニーズに応えるべく、目指したのは「無垢の丸太感」。そのため、開発当初は天板表面の突板の貼り方を、 整然とした印象の柾目から天然の味わい豊かな板目に流れるようにして自然の丸太の木目を表現することに取り組みました。しかし、ナチュラル感を出そうとしすぎて逆に不自然に見えてしまうという問題が発生し、大胆なシフトチェンジを決断します。

    レビー(LEVY)

    一枚板ではなく集成材にし、柾目と板目の突板をランダムに貼っていきました。柾目だけでは面白みがなく、板目だけでは趣がありすぎて工芸品のようになるので、 板柾混合のランダムマッチを選択。自然の1枚板ではありえない木目ですが、熟練の職人の木目への深い理解と技によってイミテーション感は払拭され、味わいのある魅力的な天板に仕上がりました。

    また、天板の小口面は、木目の流れが一定の小口テープにしてしまうとイミテーション感につながることを考慮し、一般的な小口テープではなく本物の無垢材を使用。 小口だけ無垢材にすることで全体的な違和感が出ないよう、この点においても職人の木目への深い理解と高い技術力が発揮されています。

  • レビー(LEVY)

    丸太感のある形状と使いやすさのバランス。
    果たしてどんなウェーブを描く?

    ナチュラルな木目の表現にたどり着いた後も、試行錯誤は続きます。次の課題は、天板のウェーブ感(名栗形状)をどう描くかということでした。

    いびつなラインの方が丸太のようなナチュラルな印象になりますが、ワークプレイスでの使いやすさも確保しなければなりません。丸太に近い名栗形状と利便性のバランスを追求するも、なかなか答えを見つけられませんでした。

    そこで、実際に一枚板そのものを目の前に置いて感覚をつかんでいく方法をとり、そこから3Dプリンターで検証を重ねていくことで、「ワークプレイスでの使いやすさを確保した“いびつ感”」に到達。 そのナチュラルな名栗は、自社工場に導入している5軸の「CNC加工機器(刃物が3次元に移動して曲面や立体的な木材の削り出しを行う)」を活用し、効率的に描き出されています。

    レビー(LEVY)

    また、2台を連結させてもバランスがとれて美しい名栗形状になるよう設計し、ワークプレイスでの利便性を向上。 さらに、中が空洞で芯材を用いたフラッシュ構造を採用しているため、無垢の一枚板と比べて持ち運びやすく、反ることもないので使いやすく、ワークプレイスでの長年にわたっての使用に非常に適しています。

    レビー(LEVY)
  • レビー(LEVY)
    レビー(LEVY)

    3Dプリンターの落とし穴!?
    試作での違和感から導き出した答えとは

    「やっと納得のいく天板にたどり着くことができたのですが、その後の脚の部分でも想定以上の難題と向き合うことになりました」と語るのは、レビーのデザインをメインで担当した白水。

    レビー(LEVY)

    「自然の一枚板のような天板には重厚感があり、カジュアルな脚では合いません。そこで、脚は無骨なスチールでデザインして調和を保つことに決めたのですが、3Dプリンターで検証したときと実際の試作品で確認したときの印象が違っていたんです」と続けます。 天板に対して斜め方向に八の字に開くように設計していた脚の形状が、3Dプリンターでの検証段階では特に気にならなかったものの、実際の試作品になると違和感が生じていました。

    3Dプリンターでは分からなかった違和感。その違和感の正体は何なのか?どのようにすれば違和感がなくなるのか?考えて考え抜いた結果、脚のデザイン変更を決断しました。「太くて無骨な脚が斜めに出ていて、脚が主張しすぎだと感じました。 一枚板のようなナチュラル感のある天板を引き立てたいという原点の思考に立ち戻り、ランダムな天板に対して脚は整然とさせる方向で修正していきます。この段階での脚の変更はスケジュールが大きく変わって自分をだいぶ追い詰めることになりましたが(笑)、妥協はできませんでした」と語ります。

  • レビー(LEVY) レビー(LEVY)

    天板のランダムでナチュラルな印象を引き立たせるため、まずは脚の太さを少し細めのパイプに変更。 そして、長方形の断面から正方形に変え、さらに主張をやわらげました。また、天板に対して逆のV字デザインにし、脚をまとめることによって一枚板感を高めています。

  • レビー(LEVY)

    “表現したかったことは何か”に立ち戻りながら、
    職人との連携で熱意を昇華させていく。

    「レビーとセットアップできるベンチは、最初から構想していました。ただ、強度を確保するために6本脚でデザインしていたのですが、どうしてもスマートな4本脚のイメージを諦められず・・・。
    テーブルの脚の変更でスケジュールに余裕がないことは把握しながらも、工場のメンバーにお願いして4本脚での強度を確認してもらうことにしました」と振り返ります。

    その熱意が伝わり、4本脚ベンチの試作が実現。イメージ通りのデザイン性はもちろん、4本脚で十分な強度が確保できることも証明され、セットアップのベンチが完成しました。

    「新しい商品のプロジェクトで大切にしているのは、できる限り工場に足を運んで、職人の皆さんと直接コミュニケーションをとりながら進めていくことです」 実際にテーブルの脚の形状の違和感に悩んでいたときも、図面での説明にとどまらず、3Dプリンターでスケールモデルをつくり上げてから工場に向かうなどして熱意を伝えてきました。

    レビー(LEVY)

    「このようにカタチにしたい」という想いを最大限に明確に伝え、一緒にブラッシュアップを重ねていく。 違和感を感じたならば、そもそも表現したかったことに立ち戻り、何か違うの“何か”をつきとめる。そうやって一歩ずつ進んだ先に、新しいワークプレイスで求められる情緒的な価値が生み出されます。

    レビー(LEVY)
レビー(LEVY)
クリエイティブ事業部
企画開発室

白水 亮佑

建築金物のメーカーにて建築金物や家具のデザイン・設計を経て2018年にアダルに入社。
現在は企画開発室にて家具の商品開発、カタログ制作業務に携わる。
3DプリンターやCGなどDXを活用した商品開発を率先して行っている。

家では植物に囲まれながら生活し、週末はサウナで心身ともに整えている。