Year 2023年7月
日光金谷ホテル
- 分野 HOTEL
- プロジェクト名 : 日光金谷ホテル
- 所在地 : 栃木県日光市上鉢石町1300
- 担当 : 茂藤泰輝 / 大塚美空
- 部署 : 東京支店 第1グループ 第2チーム / 東京プランニング室
歴史的価値が生み出す趣、どこか懐かしい心地よさ。和と洋の美意識が融合した特別な空間で「時間旅行」へ
日本最古のリゾートホテル別館、コンセプトは「ROYAL CLASSICS」。
現存する日本最古のリゾートホテル「日光金谷ホテル」が2023年6月に創業150周年を迎え、その翌月の7月に別館がリニューアルオープンした。
「ROYAL CLASSICS」をコンセプトとし、地域性や歴史をとり入れ、伝統と様式を継承しながらも、現代の価値観に適合したラグジュアリーな空間へと昇華することを目指した客室。金谷家の家紋でもある「笹竜胆」の花形をベースとした和紙クロスが用いられ、家具は「和と洋の美意識の融合」を重視して選定されている。
一目でくつろぎを予感させるソファ、ゆったりと心地よく過ごせるチェア。リニューアル後もなお昔のまま大切に残されている建具などもあり、そのようなクラシックな佇まいにも美しく溶け込む。
大きな窓を開け、歴史に想いを馳せながら、心ほどけてゆく。
当時の趣を受け継ぐ空間は、なぜか不思議と懐かしくて落ち着く。大きな窓を開け、ゆったりとくつろぎながら歴史に想いを馳せると、タイムスリップしたかのような感覚に包まれていく。
「日光金谷ホテル」の本館・新館・別館・竜宮は、その歴史的価値から2005年に国の登録有形文化財に登録。1873年(明治6年)の創業以来、アルバート・アインシュタインやヘレン・ケラーをはじめ、歴史に名を連ねる数々の著名人たちにも愛されてきた心地よさが、そこにはある。
歴史的価値を次世代につなぎ、「時間旅行」をこれからも。
創業者は、日光東照宮の楽師(笙の奏者)であった金谷善一郎氏。右も左も分からない状態の中で民宿を開業し、創業当初は素泊まりのみの宿舎だった。ホテルの近くを流れる大谷川で釣れたニジマスなどの川魚をどうやったら美味しく振る舞えるかと考え、ときには宿泊客に意見をもらいながら料理コースを考案していく日々もあった。
そして、そのように宿泊客とともに愛されるホテルへ育てていくという精神は、現在も大切にされている。150年にもわたって継承されてきた歴史的価値を次の世代へつないでいくことを使命とし、明治から令和へと続く「時間旅行」をこれからも届けていく。