Year 2022年7月
蕎麦 文治郎
- 分野 RESTAURANT
- プロジェクト名 : 蕎麦 文治郎
- 所在地 : 福岡県糟屋郡篠栗町大字若杉655
- 担当 : 南里 章太
- 部署 : 本社営業部 第1グループ第2チーム 主任
「枯山水」のように心地よい空間バランスをもとにゾーニング。すべてを“座りたくなる席”へ
大きな空間に、8テーブルのゆとり。3つのゾーンで構成し、どの席も心地よく。
築130年の古民家に広がるのは、すべてのバランスが整った心地よさ。ゆったりと滞在する空間にふさわしい通路幅、開放感のある高い天井と全面ガラス張りの窓、そしてそのスケール感と質感に適した家具・照明。準備に1年を費やし、2023年4月に移転リニューアルオープンした「蕎麦 文治郎」の店内は、入口側のテーブル席・窓側のテーブル席・簾によって半個室にもなる最奥のビッグテーブル席といった3つのゾーンで構成されている。
移転前の店舗ではテーブル席が1つだけだったが、リニューアルオープンを機にすべてをテーブル席へ。広々としたスペースにテーブルは8つという贅沢な空間使いで、格別のくつろぎへと誘う。
空間づくりにおいて貫かれているのが、「すべての席が座りたいと思える席であるように」という想い。あの席がいい、できればあの席は避けたいなど、来店客が“席の当たり外れ”を感じることがないように、すべての席に気を配った。
い草の家具や鍋島緞通など、空間の質を高める和の趣。
家具は、理想の杉を全国から探し出して取り寄せてつくったダイナミックなテーブルを軸に選定。そのテーブルと調和するよう、幅が大きくて背の部分も高いイスが設置されている。靴を脱いでくつろげる窓側の席のイスにはい草が用いられ、床に敷かれた手織りの鍋島緞通(なべしまだんつう)や和紙で仕上げられた手づくりの照明とともに、和の伝統の趣を醸成。また、座面が広く、手荷物を後ろに置けるスペースがあるイスを選定するなど、細やかな配慮も光る。
自然のバランスを理想とし、根底には「枯山水」のデザイン。
空間全体のメリハリとバランスの根底にあるのは、日本庭園の様式のひとつ「枯山水」のデザイン。自然によって織りなされるバランスが最も理想的という考えのもと、自然に美しく、自然に心地よく。大きなガラス窓の向こうに広がる豊かな緑ともつながっているような感覚の中で、何度でも訪れたい場所になっていく。