連載企画「木目を読む」
第2回は“浮造り(うづくり)仕上げ”の魅力にアンダーライン!

「浮造り仕上げ」とは?

浮造り仕上げとは、木材の表面をこする仕上げ方法のことで、表面エンボス処理のひとつ。木目の凹凸が強調されることによる美しい意匠性が魅力です。

四季の変化が著しい地域で育った木は、1年ごとに異なるスピードで成長するため、切り株に年輪が表れます。形成層の細胞分裂によって木の幹は太くなっていき、5〜6月は急速に成長、7〜8月はゆっくり成長、9〜4月は止まっています。

例として、ある針葉樹の場合、5〜6月に速く成長した「早材」部分は、細胞が大きく細胞壁が少ないので、密度が粗くて柔らかです。逆に7〜8月にゆっくり成長した「晩材」部分は堅い状態です。そのため、柔らかな「早材」は削り落ちやすく、堅い「晩材」は削られずに残り、木目表情を立体的に際立たせることができます。

「浮造り仕上げ」2つの魅力

【魅力1】高級感のある美しい意匠性

「早材」と「晩材」の削り落ち方の違いによって木目の凹凸が強調され、木目の表情が美しく際立ちます。

【魅力2】キズや汚れが目立たない

柔らかな「早材」が削られて堅い「晩材」が残っているので、キズや汚れが目立ちにくく、生活道具を長持ちさせる知恵でもあります。

天板やフローリングなどに活用

浮造り仕上げは、柔らかくてキズがつきやすい杉や松など、年輪が明瞭な針葉樹でつくられたテーブルの天板・お盆・フローリング等に用いられることが多く、広葉樹でも、ナラ・タモは道管を削ることができるので浮造り仕上げが可能です。

飲食店用にアダル総合工場で製作された実際の天板。黒く塗装することで木目が際立ち、意匠性が高まります。