2024年9月、熊本県上天草市にあり、全域が国立公園に指定された樋合島において、5万坪もの敷地に誕生した宿泊施設「TAYUTA」。その開業の背景には、天草の魅力を体感していただきたいという溢れるほどの想いがあり、そういった強い想いから空間づくりや家具選びも展開されていきました。
そこで今回は、施設運営の代表者・山﨑祥文氏にインタビューを実施!「TAYUTA」誕生の背景にある物語に迫りました。


マリーゴールド ホールディングス
天草リゾート
社長 山﨑祥文


探して辿り着いたのは始まりの場所

これまでずっとブライダル事業を展開してまいりましたが、その事業の始まりの場所が熊本県の上天草でした。今回のプロジェクトを進めていくにあたり、全国の様々な土地を巡り、探し続けたあげく辿り着いたのが、やはり上天草だったんです。120もの島々を見渡せて、景色が本当に素晴らしい。これからのポテンシャルを感じたのが、最終的には始まりの場所でした。雲仙天草国立公園を舞台にスタートできると決まったとき、丘の上から見えた夕日に涙が出て。天草で育ってきて見慣れているはずなのに、改めてキレイだなぁと思いました。たくさんの方々に、この景色を体感していただきたいです。

制約がヒントになり外の景色が際立つ環境へ

ホテルのある樋合島は全域が国立公園に指定されているので、建物をつくる際には「屋根は日本で昔から受け継がれてきた切妻屋根や寄棟屋根を採用する」、「色は自然に溶け込むような配色にする」などの制約が設けられています。当初は地中海リゾート風に真っ白な壁にしたいという夢を抱いていましたが、それは諦めました(笑)。
しかし、条件にとらわれてばかりでなく、逆にそういった制約をヒントにして活かすことで、想像以上の空間ができていったと思っています。昔から受け継がれる伝統的な造りとモダンなデザインを融合させ、建物はシンプル・シック・スタイリッシュに。景色の素晴らしさが際立ち、建物が主張するのではなくお客様と自然が主役の環境に仕上げられました。
どこからが外でどこからが室内か分からないような“曖昧さ”が心地よく、それを「揺蕩う(たゆたう)」と表現し、施設名の「TAYUTA」につながっています。朝日で自然と目が覚める、夕日の頃にはお腹がすく。もう天草の環境に思いきり身を委ねていただいて、心身をリトリートしていただきたいですし、「TAYUTA」でしかできない新たなリトリートを積極的に提案していきたいです。

天草の旬をまるごと感じられる食体験

眺めたい景色に座りたい家具を

アダルさんに家具を依頼したのは、商品力と提案力が理由です。硬さも素材感もすべてにこだわり、同じチームとして一緒にひとつずつ決めていくことができたので、とてもありがたかったですね。
客室の中からどのように海が見えるのか、お客様がソファに座られた場合の景色の見え方、目線を非常に重視して高さを調整していただきました。また、レストランのダイニングチェアにおいても、最後まで快適に食事をお楽しみいただけるクッションの硬さや肘掛の角度など細やかに打ち合わせをさせていただき、見た目だけでなく使い心地の良さもしっかりとデザインしていただいたと感じています。これからお客様が家具に触れることでさらに風合いが出て、それが家具の価値をもっと高めていくことにつながると思うので楽しみです。

「TAYUTA」の敷地内には、出会った瞬間に「ゆっくり座って眺めたい!」と思える景色がいっぱいです。だから私たちは、その場所にソファを設置します。インテリアをレイアウトするというよりも、「ここからこの景色を見ていただきたい!」という気持ちが溢れて置いている感じですね(笑)。深く座れるソファ、足を伸ばせるソファ、背筋を伸ばしたいときのソファなど、在るべき場所に思わず座りたくなるソファを設置することができたと確信しています。

天草の魅力を伝えどこにもないホテルへ

私たちの大きなミッションは、「TAYUTAを通して天草を伝えること」だと考えています。「TAYUTA」の魅力イコール天草の魅力です。天草の魅力を五感で感じていただけるよう、お客様のご要望に寄り添いながら一緒に旅のプランニングをさせていただき、信頼と感動を積み上げていく。スタッフ一人ひとりが天草の魅力をお客様と共感・共有させていただけるような、どこにもないホテルを目指していきます。

TAYUTA
住所/熊本県上天草市松島町合津7488-1
納入商品/造作家具一式
担当/営業本部 施設プロジェクト部 部長 吉木武
家具プランニング/クリエイティブ事業部 本社プランニング室 宅万未夏