スポーツウェアメーカー「デサント」は、リモートワークが浸透したことでオフィスのコンパクト化を進め、2021年12月に本社オフィスを移転。その移転を機に、オフィスへ出社することの意味を見直した。
特徴的なグラデーション状のゾーニングによるABWが、スムーズなコミュニケーション、働きやすさにつながっている。その本社オフィス移転リニューアルにおいて空間デザインを担当された谷ディレクターにインタビューを実施。働き方の変化に基づいた空間デザインのポイントをご紹介します。
株式会社シェルフ
インテリアデザインセクション ディレクター
谷 利貞
空間デザインQ&A〜これからのオフィスの価値とは〜
ー空間デザインで重視したことはなんでしょうか?
谷)デサントのご担当者様と打ち合わせを重ねる中で、2つの方向性が見えてきました。まず1つ目は、企業スローガン「Design for sports」を体現し、コーポレートアイデンティティを表現すること。特にエントランス空間においては、「柔軟な発想と最先端技術と機能を集結させたデザイン」という思想、そしてブランド力を発信する場にできるよう意識しています。
2つ目は、バイオフィリックデザインを基としたナチュラルテイストな空間づくりです。木目と緑視率を高め、従来の無機質で均質なオフィスではなく、仕事内容に応じての過ごしやすさを重視しています。
ーABWを実践するにあたり、グラデーション状にゾーニングしたと伺いましたが、詳しく教えて頂けますか?
谷)「ABW」を導入するにあたり、オフィスの長方形の形状を活かせると感じました。あえて明確なエリア分けはせず、奥に行けば行くほど集中に適したエリア、逆側に行けば行くほどコミュニケーションがとりやすいエリアになっていくというように、緩やかなグラデーションになるようゾーニングしています。
新しいものを世の中に提案・発信していく企業スタイルには、新しいアイデアやコラボレーションを生み出すコミュニケーションの場が必要不可欠なので、コミュニケーションの誘発につながりやすいゾーニングを重視してプランニングしました。
ー家具選定のポイントを教えて頂けますか?
谷)移転前は機能性を重視して選んだ家具が多かったのですが、コミュニティカフェエリアを設けるにあたり、意匠性が高くトレンド感のあるADALさんの家具が適していると感じ、依頼させていただきました。
“素材感”にこだわったナチュラルテイストな空間デザインで仕上げたかったので、木質感のある家具を意識して選定しています。また、出社がワクワクするように、楽しくなるように、カラフルな家具も多いですね。
そして、空間に合わせた座り心地も大切なので、移転前の本社の広々とした会場に大型ワゴン車2台分のイスを並べ、デサントのご担当者様と1脚ずつ座って確認させていただいたことも印象深いです。
営業担当の佐野さんには、もっと幅広く、もっとクッション性を・・・などの要望に対し、柔軟なご提案・ご対応をしていただきました。細やかに相談しながら一緒に進めていくことができ、とても納得のいく家具選定ができたと感じています。
ー空間設計において、SDGsへの配慮に関するクライアントからの要望は増えましたか?
谷)アルミ材を用いた家具など、サステナビリティを評価していただいて採用いただくことも増え、今後はより一層SDGsを意識した提案が求められる傾向にあるとは感じています。ただ、コスト面をはじめ、SDGsを考慮したプランニングを実行していくには、様々な課題をクリアしなければなりません。
例えばデザイン面においても、サステナビリティを重視してつくられた家具は、空間の中で浮いてしまって合わせづらいことが多いです。そういった課題を丁寧にクリアしながら、SDGsへの取り組みにつながる設計をカタチにしていきたいと考えています。
ー今後のオフィス設計で、家具メーカーに求めることは?
谷)そうですね、例えばADALさんでしたら、意匠性の高さやトレンド感というように、メーカーさんごとの特色を活かしつつ、色々なご提案をいただけるとありがたいです。オフィス家具としての機能性と従来のオフィス家具にはなかった意匠性の両立を期待します。
また、ADALさんの家具の意匠性の高さはそのままに、SDGsを意識したラインナップを増やしていっていただきたいです。
実際にオフィスで働くお客様の満足度や働きやすさ、そしてオフィスの価値を高めるため、これからも様々なプロジェクトに一緒に取り組んでいきましょう。
株式会社デサント本社
オフィス住所/大阪市浪速区湊町1丁目2番3号マルイト難波ビル13階
電話番号/06-6633-4201
納入商品/レイチェア、ピスク、ジャック、レイカウンタ―、カトレアカウンタ―、エミリー、マギー、チェルシー、ノエル、エンフォールド、ゾロ、フュージ、トーイハイテーブル、クラークローテーブル、特注ベンチ、特注テーブル
設計/株式会社シェルフ インテリアデザインセクションディレクター 谷利貞