アダルが年3回発刊している広報誌『はたらく家具』が、おかげさまで20号を迎えました。そこで今回は、オフィス家具メーカーの経営者であり、『はたらく家具』読者の一人でもある川原田淳氏のもとを、アダルの広報・PRで『はたらく家具』制作にもメインで携わる近藤悠紀が訪問。
20号発刊という節目に、これまでの『はたらく家具』を振り返りながら、読者としての視点や経営者としての視点に触れ、これからの進むべき方向を探り出します。

やる気の引き出し方や納入先紹介のヒントをもらっています

トヨセット株式会社
代表取締役社長
川原田 淳

銀行員として定年を迎える3年5ヶ月前の2009年に経営再建のため出向し、2014年には代表取締役社長に就任。「正しいことをしよう 世のめ 人のため」を社是とし、健康・省エネ・快適なオフィス環境を追求。『はたらく家具』は創刊号から全号読破。

家具メーカー独自の視点で、納入先の魅力が際立つテーマ設定を

株式会社アダル
経営企画部 経営企画室 広報・PR
近藤 悠紀

東京支店営業職として2014年アダルへ新卒入社。その後異動し、設計・プランニング職の5年間を経て、2020年に福岡本社へ。新設された広報・PR職を担い、『はたらく家具』制作にも奮闘。営業と設計の経験も活かし、アダルの魅力を多方面に発信中。

『逆境人生どんでん返し』を夢中で読破してファンに

近藤:本日はよろしくお願いいたします。早速ではありますが、弊社の情報発信に興味を持ってくださったきっかけを教えてもらえますか?

川原田:はい、よろしくお願いいたします。もともと武野龍社長と親しくさせていただいていて、2013年のアダルさんの60周年記念パーティーに呼んでいただいたんですね。それで、そのパーティーのお土産の袋に『逆境人生どんでん返し(当時社長で現会長ファウンダーの武野重美による自叙伝)』が入っていて、もう夢中で読みました。面白すぎて、帰りの飛行機の中で読破しましたよ(笑)

近藤:そうだったんですね。そこから弊社の情報発信や出版物に注目していただけるようになったんですね。

川原田:はい、もうアダルさんの存在が強烈に刻まれて、すっかりファンです(笑)

近藤:ありがとうございます(笑)そして、その流れで『はたらく家具』も読んでくださるようになったのでしょうか?

川原田:そうですね、アダルさんはwebでもたくさん情報発信されているので、webを頻繁に見させていただくようになりまして、そこでweb版の『はたらく家具』と出会いました。

「はたらく家具」を通して「はたらく環境」を整える

近藤:最初はweb版を見つけてくださったんですね。それからずっと読んでくださり、ありがとうございます!

川原田:まだ表紙が手描きのイラストだった頃で、その表紙の素朴で温かな感じに惹かれました。

近藤:本当に初期の頃ですよね。ありがとうございます。お好きなコーナーはありますか?

川原田:はい、まず「OUR HISTORY」のページが好きですね。何十年も営まれている昔ながらの喫茶店がたくさん掲載されていて、興味深いです。家具たちにとっても、すごく嬉しいページだと感じますね。そして、やはり「クラフトマン」です。このページは、社員の皆さんのやる気を引き出す役割も果たしていると感じます。

近藤:なるほど、経営者としての視点からも見てくださっているということですね。

川原田:そうですね、直接的ではなくても、『はたらく家具』を通して「はたらく環境を整える」ことにつながっていると思いますよ。

社員の手書きのスケッチが表紙になった、はたらく家具創刊号と2号


数十年前の当社製の家具を使い続けている店舗を取材するコーナー「OUR HISTORY」

対談場所の住宅は国の登録有形文化財

近藤:今日こちらに訪問させていただき、ずっと思っていたことですが、とても心地よくて素敵な邸宅ですよね。国の登録有形文化財でもあると伺いました。

川原田:ありがとうございます。材木商をしていた祖父が、腕のいい大工と良質な材料に徹底的こだわって昭和初期に建てた住宅です。2020年の4月に国の登録有形文化財として登録されました。

近藤:日本庭園もとても美しくて見事ですよね。

川原田:はい、日本庭園づくりにもかなり注力したようです。

近藤:建設当時のこだわりや想いを大切に守りながら継承されていて、本当に素晴らしいことですね。有形文化財には、何か登録されるきっかけがあったのでしょうか?

川原田:そうですね、この空間を活かして様々なワークショップを催しているのですが、とあるワークショップに建築士の方と文化財の登録に携わる方(ヘリテージマネージャー)がたまたま参加されていて、「この建物は登録されるべき!」となったことがきっかけですね。

近藤:偶然の参加が文化財登録につながったんですね!受け継いだ歴史ある建物を活かしたいという川原田さんの想いが強かったからこそだと思います。

取材場所の川原田家住宅主屋は、川原田氏が修繕を行い、国の登録有形文化財に登録されている

文化財の住宅とともにアダル家具も大切に愛用

川原田:世代を越えて大切に受け継いでいくと言えば、初期にあったコーナー「ハリカエのココロ」も素敵でした。長く使用している家具のメンテナンスは、依頼をしても断られることが多いので、アダルさんの工場がもう少し近くだったら真っ先にお願いしていましたよ(笑)

近藤:そう言っていただけてありがたいです(笑)たしかに登録有形文化財でもあるこちらの住宅には、昔から受け継がれてきた家具が多くありそうですね。

川原田:はい、メンテナンスをしながら、長く大切に使い続けていきたいと思っています。もちろんアダルさんの家具も愛用していますよ。

近藤:ありがとうございます!とても嬉しいです。

初期の『はたらく家具』に掲載、長年使用されてきた家具の張り替えを紹介する「ハリカエのココロ」

川原田:この空間の雰囲気に合うと感じて、置かせてもらっています。ときどき開催しているワークショップの中の「縁側カフェ」の時間にもアダルさんのイスを使用していまして、好評ですよ。

近藤:そうなんですね!紅茶のいれ方や薬膳など様々なワークショップを催されていてとても素敵だと感じていたのですが、アダルのイスが活躍しているということで大変嬉しく思います!

家具のサステナビリティを発信する企画にも期待

川原田:『はたらく家具』では、家具の納入先の紹介に重点を置きながら、さりげなく自社家具のPRにもつなげていますよね。そういう見せ方が、本当に参考になります。

近藤:ありがとうございます。特に14号からは、「コロナ禍で求められるオフィスの意味」や「過ごすことが目的となるホテル」など、家具メーカーならではの視点を大切に、業界動向を踏まえて納入先の魅力が引き出せるようなテーマを設定しています。

川原田:なるほど、また読み返したくなりました。

近藤:ありがとうございます(笑)そして、これからの『はたらく家具』へのリクエストがあれば伺いたいです!

川原田:そうですね・・・以前の「ハリカエのココロ」のように、「長く使う」をテーマにした企画ですね。アダルさんだからこそできる家具のサステナビリティの発信に期待します。

近藤:貴重なご意見ありがとうございます。創刊号から目を通していただいていて、本当に嬉しいです。これからも色々と模索しながら、魅力的な『はたらく家具』づくりを目指します!




<インタビュー場所>
川原田家住宅主屋

川原田信男氏(淳氏の祖父)が、昭和初期の1937年に建設。木造2階建の中廊下型で、2020年4月に国の登録有形文化財として登録された。数寄屋風の佇まいや多様な窓の造形、美しい日本庭園も特徴。屋根が重なる複雑な外観は、山林の地形を活かしたもので、当時の山林都市構想を物語る。