「あの頃の喫茶店」のまま想いは継がれ、咲き続ける。
扉を開ければ、ふんわりとコーヒーの香り。初めて訪れてもどこか懐かしい「あの頃の喫茶店」がそこにはある。1978年から続く老舗喫茶店「蘭館」のカウンターに立つのは、オーナーの田原順子さんと店長で息子の照淳さん。
蘭の温室の跡地に開業し、初代オーナーは順子さんの夫だった。夫婦二人三脚で自家焙煎の珈琲専門店を目指して奮闘する日々。地域に愛され、照淳さんもコーヒーの香りの中で育った。しかし10周年を迎えた1988年、オーナーが他界。順子さんは絶望感に襲われたが、照淳さんと「蘭館」の存在に支えられ、お店を続けていくことを決めた。それから30年、現在も自家焙煎とネルドリップコーヒーへのこだわりは守り継がれている。
照淳さんは、九州初のSCAA認定「コーヒー鑑定士」となり、「ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップ」では2度の日本一に輝いた。最高品質の珈琲生豆を世界各地から直輸入し、五感で楽しめるコーヒーを追求し続けている。
そして、そんな家族の歩み、「蘭館」の歩みとともに歳月を重ねてきたのが、グリーンベロアのイスとテーブル。高さやサイズなど、コーヒーを楽しむのに適した「喫茶店ならではの設え」が特徴だ。夫から妻、母から息子へ受け継がれる想い。
いつ訪れても変わらない「あの頃の喫茶店」の佇まいが、格別の落ち着きとくつろぎをもたらす。
珈琲 蘭館
住所/福岡県太宰府市五条1-15-10
電話/092-925-7503