飲食店やオフィスなどに設置される家具は、毎日多くの人々が使用するため、気づかないうちに傷や凹みができてしまうことがあります。

さらに、家具の移動や清掃中にぶつけてしまうことも少なくありません。このように、日常的に起こりやすい小さな傷や凹みであれば、費用をかけずに自分で修理したいと思う方も多いのではないでしょうか。

前編では、ホームセンターで揃えられる道具を使った木製家具のセルフリペアの方法や、引っかき傷、打痕、欠けなどの修復手順やコツについてお伝えしましたが、セルフリペアには注意点も存在します。

後編では、セルフリペアの際に気を付けるべきポイントや、プロに依頼する場合のメリットについて詳しくご紹介します。自分での補修が難しい場合にどのようなケースでプロに依頼すべきか、その見極め方も解説しますので、ぜひ参考にされてください。

目次

  1. 【注意】セルフリペアで気をつけたいこと3点
  2. セルフリペアかプロに依頼か、どう見極める?
    1. プロに依頼することをおすすめする場合
    2. 日数の心配要らず!大きい傷でも1日で修復
    3. 【プロの技】修復手順を大公開!
  3. 終わりに
    1. セルフリペアとプロに依頼する場合を使い分けよう
    2. おすすめのリペア屋さんをご紹介

1.【注意】セルフリペアで気を付けたいこと3点 

色が合わない場合、補修箇所が逆に目立つ

早く終わらせようとしないこと。最初から色を完璧に合わせようとして濃い色をのせてしまい、周りの色と補修箇所の違いが逆に目立ってしまうことがあります。また、傷の輪郭や補修箇所の艶が目立ってしまう可能性もあるところも注意点です。

耐久性が低い(傷が悪化する可能性もあり)

補修が完了したと思っても実際には埋める量が足りていない、補修した部分が取れてしまうなどは、家具のセルフリペアで起きやすいことです。自分で家具の修復を試みる場合は、耐久性の低さや服などへの色移りのしやすさを念頭に行いましょう。

道具の耐用年数に注意!

セルフリペアに使える道具はホームセンターなどで簡単に購入できますが、道具には耐用年数がある為、揃えたものの1〜2回しか使わず捨てることになる可能性もあります。
そのため、セルフリペアの際は、すべての家具の状態をチェックし、1箇所だけでなく全箇所まとめて補修することをおすすめします。

2.セルフリペアかプロに依頼か、どう見極めたらいい?

費用を抑えながら手軽にできるセルフリペアですが、やはり大切な家具を完璧に修復したいという場合は、家具リペア専門のプロに依頼するのがおすすめです。
そこで、どういったケースがプロに依頼するべきなのか、見極めポイントをご紹介します。

プロに依頼することをおすすめする場合

下記に挙げているような傷の場合、専門的な道具が必要なケースも多いため、プロに依頼した方が見栄えも耐久性も安心です。

・傷が深い、大きい
・シミや色褪せで補修範囲が広い
・木部以外の部分の傷

・天然素材の家具

日数の心配要らず!大きい傷でも1日で修復(※1)

「プロに依頼すると日数がかかるのでは?」「何日間もイスやテーブルが不足している状態が続くのは困る・・・」と懸念される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際には、小さな傷なら3時間程度、大きな傷でも1日程度で修復できることが多いです。(※2)プロに依頼すべきチェック項目に該当する場合は、一度ご相談されることをおすすめします。

※1) 数量によっては日数がかかる可能性もあります
※2)実動計算。家具の状態や数量によっては日数がかかる可能性もあります

【プロの技】修復手順を大公開!

では、プロに補修依頼する場合、仕上がりはどこまで元通りになるのでしょうか?
「打痕」の修復を例に、プロの技をご紹介します。

こちらはプロの道具一式です。プロ仕様の道具によって、耐久性を保ちながら、どこに傷があったかほぼわからない状態まで補修することができます。

① セルローズシンナーまたはペイントシンナー
 希釈で使用するほか、ブラシや補修で使った道具などの洗浄に使用する溶剤
②リキッドサンドペーパー
 補修前の下地のクリーニング、余分な補修材や塗料を取り除く溶剤
③アクリルスプレー
 艶調整するためのもの、スプレーには種類があるのでその場に合ったものを使用する
④リムーバープラス
 塗料吹き付け時に発生するスプレーミストのぼかし剤として使用
⑤ペイントボックス(着色用)
⑥フィラーアプリケーター
 補修剤を埋めた後平らにするための道具
⑦ハードワックス(補修材)
⑧電子温調こて
 補修材を溶かして埋めるためのもの
⑨ウエス(布)

1.傷の周りを削って平らにする
2.電子温調こてで補修材を溶かし、木部に合うワックスで傷を埋める
3.ワックスを平らに削る


4.余分なワックスを布で拭き取る
5.色を調合し、筆で木目を描く
6.専用スプレーで艶を調整する


補修前と補修後の打痕傷の様子です。見る角度を変えたり近くで見たりしても、どこに傷があったのか分からないレベルで補修されています。

セルフリペアの場合と比較してみます。ホームセンターの道具でも単体で見た時は十分補修できているように見えましたが、比べてみると違いを感じます。


3.終わりに

セルフリペアとプロに依頼する場合を使い分けよう

不特定多数の人々が利用する場所に設置された家具に傷がついてしまうことは避けがたいため、ちょっとした「引っかき傷・打痕・欠け」であれば、セルフリペア用の優れた道具をホームセンターやネット通販などで気軽に揃えてご自身で修復にチャレンジしてみるのも一つの手です。

ただし、セルフリペアはあくまで一時的な傷の目隠しのようなものなので、大切な家具を完璧に修復したい、修復箇所が全く分からないようにしたいという場合は、やはりリペアのプロへの依頼をおすすめします。

最後に、家具の補修は長く愛用するための大切な工程です。
適切な修理方法を選択し、家具を丁寧に取り扱うことで、その美しさや機能を維持することができます。家具に愛着を持ちながら補修を行うことで、より快適で美しい空間を作り上げることができます。

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