以前は半導体業界で働いていたが、地元の福岡に戻るため、転職を決意。ものづくりが好きだったことと、製作に携わった家具が飲食店やホテルなどで利用されているシーンを実際に見ることができて身近に感じられるという点で、家具づくりを選んだ。
2013年に入社。縫製できる状態まで生地をカットする自動裁断機を駆使するクラフトマンであり、現在は発注書のチェック・生地の必要量の算出と発注・工程管理なども担う。
精度の高い型データと 改良された裁断機で日々奮闘

型のデータを加工しながらCADに入力し、そのデータを自動裁断機に取り込むと、巨大な台の上をピザカッターのような丸刃がテキパキと駆け巡る。「自動裁断機での裁断がスムーズにいくかどうかは、CADに入力した型データの精度でほぼ決まります。特に柄のある生地は、柄がズレたり重なったりしないようにCAD上でポイントを決めて柄合わせをするのですが、このポイント決めがけっこう難しいですね」と語る
型のデータを自動裁断機に取り込んだ後も、裁断機に備えられたディスプレイでデータを確認しつつ進めていくのだが、以前に使用していた旧タイプにはディスプレイがなくボタンのみだったとのこと。「新しいタイプに切り替わって数年経ちますが、ディスプレイでデータを確認しながら進められますし、PCの中にある型データもUSBを介さずにLANで簡単に取り込めるようになったので、効率も精度も大きく向上したと思います。2023年にはさらに最新型の自動裁断機も導入され、裁断機上にプロジェクターで型を投影できるようにもなりました。どちらもすごく活躍してくれていて、いつもありがたく感じています」と微笑み、相棒のような存在の裁断機を見つめた。
自然素材の「い草」に試行錯誤、“本当の答え”は現場で更新

生地量の算出を担うようになってからは、生地のロスを出さないよう、逆に生地の不足もないように緻密な計算を重ねる。「生地の必要量をどれだけ正確に算出できるか。余ってしまっても足りなくても金額に影響しますし、非常に神経を使うところですね。また、あってはならないことですが、生地の品番を見間違えてしまい、想定していたものと違う生地が届くという誤発注にも注意しなければいけません。間違えるはずがないと思い込まず、常に気を引き締めておくことも大切だと感じます」
色移りしやすい生地、ほつれやすい生地なども把握し、そういったタイプの生地で依頼があった場合は、様々な提案や対策を行った上で、次工程の縫製へと送り出す。最近では、特に「い草」で試行錯誤する場面が増えた。寸法通りに正確に発注するものの、自然素材ならではの特殊な性質があり、数値だけでは判断しづらいため、実際に届けられたものでは合わないことも多い。そういった場合は、届いた「い草」に再調整を施し、本当に適した寸法を導き出す。そして、そのリアルなデータを蓄積しながら、また精度を高めていく。
現在の目標は、裁断だけでなく、張りも縫製もできるようになること。強いチャレンジ精神に後押しされ、家具づくりの道を進む