福岡市の中心部に47年。お母様の最後の事業のひとつとして開業。
福岡市の中心部・天神エリアに位置する大型百貨店ビル。そのビルに隣接して佇む「カフェテラス ポピー」に一歩入れば、そこは都会の天神エリアとは思えないレトロ空間。まるでそこだけ時間が止まっているように感じられる。
1975年、現マスター溝口さんのお母様が開業。全国有数の繁華街として知られていた中洲を代表する高級クラブ薊(あざみ)で活躍する傍ら、政財界などにも顔が広い敏腕経営者の一面もあり、飲食店事業を手がけていた。そんなお母様の最後の事業のひとつとして生まれたのが「カフェテラス ポピー」だ。
花が好きで、ポピーの花言葉に思いやりの意味があったことから、店名が決定。味のあるロゴはお父様による手書きとのこと。
現マスターの溝口さんは、もともと会社員として働いていたが、お母様をサポートするため20年ほど前に脱サラして引き継ぎ、現在も同じ場所で守り続けている。
長年の常連客が9割。家具も名物オムライスも店の一員。
「ずっと来てくださっている方が多くて、9割近くが常連のお客様です。お客様とのコミュニケーションが一番大切だと思っています。例えば料理を残していらっしゃる日には体調についてお伺いしたり、適度なボリュームを事前に把握して調整してご提供したり。ここに来れば癒されると思っていただける場所でありたいですね」と語る溝口さん。お母様から引き継がれた温かな想いが、昔ながらの懐かしくて優しい雰囲気につながっている。
大人気のオムライスも、ずっと変わらない名物メニュー。お母様のつながりで神戸の名店から受け継いだ特別なレシピだ。
さらに、開業から47年の現在もなお、ホッと落ち着ける空間が保たれている大きな理由のひとつが、改装を経ても使われ続けている家具にある。
飴色に光る木の質感にオーストリッチ柄の緑の張地が映えるイス。「ポピーらしいデザインで、何年経っても飽きない。むしろ年月を重ねるほどカッコよくなる家具だと感じています」と溝口さんは微笑む。
いつかは2階建てに。家のような存在として、これからも。
「常連のお客様にくつろいでいただけるよう喫煙可で営業していくことを決めましたが、これからの夢は、もし増築ができれば2階建てにして分煙化し、煙草を吸わない方やお子様連れの方にも来ていただきやすい場にすることです。木造の家のようにできれば楽しいなぁと夢見ています(笑)」たくさんの人と情報が行き交う街の中、ふと帰りたくなる懐かしい時間が広がっていく。
カフェテラス ポピー
住所/福岡県福岡市中央区天神1丁目4-20
電話番号/092-712-3466
納入商品/ドローマ・B
1992-1993 A DAL F URNITURE G UIDE Vol.15掲載